電源監視 IC のリセット時間

電源の電圧低下によるシステムの暴走などの異常動作を未然に防ぐために電源電圧を監視し、電源異常を検出した時に CPU にリセットをかける、電源起動時に電源電圧が設定値に達するまでの間 CPU の起動を遅らせる、などの動作をさせる IC が使用されます。一般的にはリセットICと呼ばれ、TI では電源の監視を行なっているということでスーパーバイザー(SVS)と呼んでいます。これらの IC は短時間の異常発生時でも一定の時間の RESET 信号を出すためにタイマーを持っていますがこのタイマーが電源異常の発生状態によっては一定のリセットを発動できない製品も世の中には存在するので注意が必要です。

リセット IC のタイマー時間
FET の ON 抵抗や電流センス抵抗で検出された電流が過電流制限値に達した場合、それ以降どのように電流値に制限をかけるかで過負荷時の出力電圧-負荷電流特性に様々な特性を示しますが大きく分けると、定電力制御型、定電流制御、電流減少制御の 3 つに別れ、複数の組み合わせの場合もあります。

最も簡単なリセット IC
pwr_sel_hint27_1.bmp最も簡単なリセット IC ではタイマーを内蔵しておらず、プルアップしたリセット出力にコンデンサを追加して、電源が設定値に達してコンパレータが動作してから RESET 電圧の上昇を CR 遅延により遅らせる事により RESET 遅延を実現しています。このタイプのリセット IC は安価でもあるので広く使用されています。この回路の問題点はタイマー時間が不安定となる事です。起動時には電源電圧がスレッショルドを超えて出力スイッチが OFF となりコンデンサへの充電が開始されますが、コンデンサ電圧の立ち上がりは CR 積分電圧となり、どこの電圧で RESET が解除されるかは CPU の RESET 入力ピンの High スレッショルド電圧に大きく依存(通常、100%High が確定する電圧は規定されるが、Low 確定電圧と High 確定電圧の間のどこかで High になるので、何処で High になるかは不定)しますので正確なタイマー時間を設定出来ません。出力のコンデンサが完全に放電している電源起動時には CR 積の遅延が動作しますが問題は電源ラインの瞬停です。瞬停によりコンパレータはトリップしてタイマー用コンデンサの電荷を放電して電圧を低下させて CPU に RESET をかけます。この時コンデンサの電荷を完全放電できていれば、タイマーがタイムアップするまでの時間に再現性がありますが、電圧の低下が短時間しか発生し無いと電圧監視コンパレータが短時間しかトリップしなくなり、タイマーコンデンサを完全に放電する前に電圧が回復してコンデンサの放電が途中で停止してしまいます。すると電圧が復帰するまでの時間が短くなり RESET 出力が発動する時間が短くなり、CPU のリセットを確実に行う事が不可能となる可能性が出来てしまいます。

タイマー制御回路を内蔵したリセット IC
pwr_sel_hint27_2.bmpCR の充電時定数を利用していてはタイマー時間が不安定で確実性に乏しいのでより正確なタイマー時間を確保する為に、IC 内部に定電流回路を持たせ、タイマーコンデンサを定電流充電する事によりコンデンサの電圧上昇を直線的にする事が出来ます。またこのコンデンサの電圧をコンパレータで受けて RESET 出力を発動する事により、タイマーコンデンサの容量に完全に比例した時間で、0/1 の論理電圧レベルで RESET 信号を出力する事が可能となりより正確なタイマー時間で動作する RESET 信号を作る事が可能となります。しかしこのタイプはシャットダウン状態からの起動や比較的長い時間の電圧低下に関しては確実な動作を行ないますが電圧低下時間が短い場合はやはりコンデンサを完全放電できない可能性があるので設定したタイマー時間が確実に発動されるという保証はありません。

確実に動作するタイマー回路を内蔵したリセットIC
pwr_sel_hint27_3.bmp 瞬停での RESET 動作の不確実性を排除するために、瞬間的な低電圧を検知しただけでもタイマーコンデンサの放電を 100% 確実に行なうように改善したのが 1994 年にリリースされたTLC77xx シリーズで、この IC では電圧監視回路が低電圧を検出するとトランジスタではなく、サイリスタによりタイマーコンデンサを放電する回路となっています。コンパレータが低電圧を検出するとサイリスタのゲートをドライブします。電圧低下が短時間であっても一度 ON したサイリスタは電流が無くなるまで ON を継続するのでコンデンサの電荷が無くなるまで放電を継続し、完全放電して電流が無くなるとオフになって、定電流充電を開始しますので確実なタイマー時間での RESET 出力を発動する事が出来ます。

pwr_sel_hint27_4.bmp 2000 年頃から固定タイマー製品が登場しました。固定タイマー品ではタイマー時間を自由に変更する事は出来ませんが外付けのタイマーコンデンサが不要となります。しかし IC の内部には200mS といった長時間の RC タイマーを構成するだけの大容量のコンデンサを内蔵できません。この問題は IC の微細化技術の進歩とアナログ・デジタル回路の混載化によりアナログ製品にも多くのロジック回路を内蔵する事により対応が可能となりました。内蔵可能な少容量のコンデンサによる高周波の発振器と多段のバイナリー・カウンタを内蔵します。例えば 5KHz(1 クロック 0.2msec)のオシレータに 10 段のバイナリー・カウンタを接続して 1024 カウントすると 200msec を作る事ができます。低電圧を検出するとカウンターをリセットし、電圧が復帰してから 1024 発のパルスをカウントする間 RESET 信号を継続して出力できますので確実なタイマー動作が可能となります。

             


ページトップへ