図:携帯機器バッテリー充電器の安全性

2 携帯機器バッテリー充電器の安全性

近年様々なアプリケーションで携帯機器が現れ、リチウムイオン充電池の利用範囲が広がってきています。その一方、充電池の安全性が市場の拡大と共に重要な項目として注目されており、充電池を安全に利用する方法が、携帯機器を設計する上での鍵となります。


多様な携帯機器とリチウムイオン充電池の利用

リチウムイオン充電池を利用した携帯機器は、より小さく、軽く、そしてより長い時間使える要求を満たしながら、安全性を向上しなければいけません。例えば充電池の異常発熱や劣化を防ぎながら電池容量を確保が必要です。そのため、より充電電圧の管理の要求精度が高くなってきています。

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充電器とアダプターの接続と安全性

図2:充電器とアダプターの接続と安全性 また、充電器の入力となる電源アダプターとのインタフェースについても、安全性向上の必要性があります。市場には様々なアダプターが出回っており、非純正のアダプターなども市販されています。安価な整流ダイオード構成のアダプターでは低電流時に規定電圧より高い電圧を出力するものがあり、充電器を破壊する場合があります。(図1) また USB ポートからの充電の場合、本体側の機器が不適切な設計をしている場合も考慮しなければいけません。

さらにアダプター挿入時にホットプラグ現象として、入力電圧の倍の電圧がかかり充電器を破壊するケースもあります。そして正負の電極が逆に接続される場合や短絡や過電流など、充電器の入力には様々な負荷が加わることもあります。

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ホットプラグによる充電器の故障

図2:ホットプラグによる充電器の故障 アダプターが AC コンセントに接続されたままの場合、出力端子には電圧がかかった状態で充電器に接続されます。この時アダプターから充電器までは、ケーブルの抵抗・インダクタ、充電器の入力コンデンサと ESR からなるシステムと等価回路となります。

図2)充電器の入力コンデンサ Cin を増やしても、オーバーシュートを十分に抑えることは難しいため、充電器への入力電圧を抑えるには、高 ESR の入力コンデンサを用いるか直列抵抗 Rc を追加することで効果があります。またツェナーダイオードも効果がありますが、充電器の入力には電流値に応じたクランプ電圧が加わることになります。

これは、ホットプラグでの過電圧を防ぐに有効な対策ですが、様々な充電器の入力にかかる負荷に対応するには十分ではありません。充電器が故障することで電池に対して過充電などが発生し、危険な状態に陥る可能性があります。 CFE (Charger Front End) を充電器の入力に追加することで、過電圧保護、過電流保護、電圧の逆入力保護や電池の過電圧保護によってシステムの安全性を格段に向上できます。 (図3

図3:ホットプラグによる充電器の故障

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電圧・電流保護

図4:VIN, VOUT(各波形データの左側上からの名称) 例えば bq24300/04 では、過電圧のしきい値は 10.5 V で出力電圧は 5.5 V です。アダプターからの入力電圧が 10.5 V 以下の場合、bq24300/04 からの出力は 5.5 V に降圧されて充電器入力に加わりますが、入力電圧が 10.5 V を遅延時間の間越えると、bq24300/04 の出力は 0 V まで下がり、これによって充電器が入力の過電圧によって故障するのを防ぐことができます。(図4

図5:ROUT, IOUT(各波形データの左側上からの名称)充電器の動作中に過大な電流が流れると CFE は、定電流源(300 mA か外部抵抗による任意設定値)のように動作し、一定時間継続すると CFE 出力を停止します。その 64 ms 経過後、出力を再開します。過電流状態が継続していると出力がオン/オフを繰り返します(Hiccup モード)。 bq2431x では、Hiccup が 15 回検出されると出力をラッチアップします。(図5

図6:VOUT, VVBAT, /FAULT(各波形データの左側上からの名称)一般的な保護対策としてコスト面からショットキーダイオードを用いますが、これによる電圧降下が 0.3 V から 0.4 V と大きく、例えば、USB 充電を考えると充電回路入力電圧が十分に確保できません。そのため、これを低 Rds_on 品の MOSFET に置換え、電圧降下を低く抑え、しかも、入力に負電圧が印加されるとターンオフし、電流が流れるのを防ぎます。

電池パックの電圧は抵抗を介して監視され、その電圧が OVP しきい値を越えた状態が一定時間継続すると CFE 出力を停止します。その後、電池電圧が 4.1 V 以下に低下すると出力を再開します。 bq2431x では、電池過電圧保護が 15 回検出されると出力をラッチアップし、また、電池から僅かな電流が抵抗を介して放電され、過電圧状態を回避することにも繋がります。(図6

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携帯機器の安全性を向上させる bqCFE

このように bqCFE では様々な保護機能を提供し、携帯機器の安全性を向上させることができます。TI は実装された保護機能によって、異なる製品を提供しています。

製品 パッケージ Input OVP OCP Battery OVP Counter
VOVP VO(REG) TBLANK(OVP) IOCP TBLANK(OCP)
bq24300 2x2 mm 10.5 5.5 64 μs 300 mA 5 ms 4.35 No
bq24304 2x2 mm 10.5 4.5 64 μs 300 mA 5 ms 4.35 No
bq24314 2x2 mm
4x3 mm
5.85 0 PROG
≦1.5 A
176 μs 4.35 Yes
bq24316 2x2 mm
4x3 mm
6.8 0 PROG
≦1.5 A
176 μs 4.35 Yes

・過電圧保護 ・過電流保護 ・逆入力電圧保護 ・電池過電圧保護


bqCFE 製品評価用ボード

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