図:PFC とインターリーブ

5 - PFC とインターリーブ

広く知られているように、75W 以上のすべての電源には高調波電流の規制があり、高調波電流を定められた値以内に制御する必要があります。比較的大電力の電子機器では、PFC プリレギュレータをインターリーブ制御させることにより、リップルやノイズの低減、部品コストの低減など機器の性能の向上に威力を発揮します。


高調波電流の抑制

AC 電源を利用する電子機器では、高調波電流を規定値以下に抑えることが義務づけられています。電源に高調波が含まれるのは入力電流が非正弦波状であることを意味します。小電力の単電源の機器では入力にインダクタを挿入して解決することもできますが、中・大電力の電子機器では力率改善(Power FactorCorrect:PFC)機能を持ったプリレギュレータを搭載し、いったん高電圧の DC に変換した後に絶縁型の DC/DC コンバータを経て負荷に供給するのが一般的です。

PFC 制御 IC は AC 入力を直接整流し、整流波を入力とした昇圧スイッチングレギュレータです。PFC 制御 IC によって入力電流が平準化され正弦波に近づくため高調波が減少します。

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インターリーブで小型・低背化

PFC では高調波電流の抑制と同時に高効率であること、そして小型・低価格化であることが強く求められます。大電力になるに従い使用するインダクタやコンデンサ、スイッチング素子、ヒートシンクなどに大型のものが必要になり大きなスペースを占めるようになりトータルのコストやノイズなどの諸問題も増加します。

PFC システムを小型で高効率かつ低価格で実現する手段のひとつに、インターリーブ制御方式があります。インターリーブ制御は、電源を複数系統(2 相)に分けて各相に位相差をもたせ、リップルなどを互いに打ち消しあう制御方式の 1 つです。2 相のインターリーブ方式の場合には、電流位相が 180 度の位相差を持つことでリップルが相殺され、EMI フィルタなどの軽減に大きく貢献できます。トータルの部品点数は増えますが、個々のインダクタや出力コンデンサ、スイッチング素子などを大幅に軽減でき実装の薄型化も可能です。また複数系統になることで発熱も分散されるメリットもあります。

図1 は通常の方式(単相)とインターリーブにしたときのリップル量を比較したものです。動作モードによる軽減の度合いの違いはありますが、インターリーブによってリップルが小さくなることが分かります。

図2 にテキサス・インスツルメンツ(以下 TI)の UCC28060 を使った 300W インターリーブ PFC の例を示しました。太線で示したように、スイッチング回路が 2 系統ある 2 相電源になっています。 UCC28060 は 300 W 〜 1KW ないしは 2KW 程度のシステム向けですが、TI ではより大電力向けに UCC28070 のシリーズもラインアップしています。

図1:インターリーブによるリップルの減少と図2:UCC28060 標準接続図

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ナチュラルインターリーブ制御

図3:ナチュラルインターリーブの動作 各相毎のスイッチングには、UCC28060 では効率が良く、リカバリ損失もない応答性に優れる臨界モード方式を採用し、UCC28070 では大電力に向く電流連続モード方式で動作します。

また UCC28060/UCC28070 ではナチュラル・インターリーブと呼ばれる制御方式が採用されています。ナチュラル・インターリーブは二つの相が 180 度の位相差を保ったまま各層の制御を独立して制御します。 図3

この方式は過渡応答性が良い、ノイズなど外乱の影響を受けにくい、部品のバラツキなどを制御側で吸収できるなどの特長があります。ナチュラル・インターリーブではさらに多相化する場合の拡張性も有します。

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独自機能で信頼性と効率向上

図4:300W PFCボード UCC2806x/UCC2807x ファミリには動作の信頼性や電力効率を向上させる多彩な機能がいくつも盛り込まれています。例えば異常状態で片方の相のだけが異常が発生した場合に他方の相は時定数設定ができる「フェーズフェイル機能」により確実な安全を確保するなどはそのひとつで、相毎に独立した制御判断能力を持つナチュラル・インターリーブを活かした TI 独自の機能です。

また、ライン電圧低下時の挙動を安定化するための「ブラウンアウト機能」も備えています。AC の入力電圧が一時的に低下した場合はそれを補うために電源のオン期間が伸びますが、これに対してブラウンアウト機能は最大 ON 時間を制限して挙動を安定化させることが可能です。一方、過電圧に対しては二重のスレッシュホールド電圧を設定して高速かつ安全な保護を可能にしています。

図4 に示した写真は UCC28060 の PFC 評価ボードです。インターリーブにしたことでインダクタや出力コンデンサ、ヒートシンクなどが分割され、300W の PFC をわずか 2cm の高さで実現できています。

図5 は負荷に対する電力効率特性で、軽負荷からフル負荷まで高い効率(=低損失)が得られているのが分かります。ちなみに UCC28060/UCC28070 ではナチュラル・インターリーブによって相毎に制御するので、軽負荷の状態では片方の動作を停止させることも可能です。軽負荷の効率の改善にも大きな特徴を持っています。同図の Phase management はこれを利用した機能で軽負荷時の効率が向上します。

図5:電力効率特性

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サポートツール

図6:設計サポートツール TI のインターリーブ PFC や力率改善の設計には、サポートツールがすべてに準備されています。外付け部品の設計補助のための設計ツールが無償で提供され、図6 この設計ツールを利用すれば、初心者でも手軽に力率改善のシステムを構築することができ、設計時間を短縮できるうえ、技術手法の蓄積にも大いに役立ちます。

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