高耐圧降圧コンバータでの最小 ON 時間と
入力電圧により発生する最低出力電圧の制限

降圧コンバータ製品で高耐圧の製品では、入力電圧範囲が 5.5V から 36V とか 3.5V から 60V と広い製品があります。最低出力電圧も 1.22V とか 0.8V といった低い電圧まで設定可能となっています。しかし、動作範囲内とはいえ 24V や 40V といった高電圧から 1.2V や 1.8V といった低い電圧を直接作る事ができない製品もありますので、入力電圧と出力電圧の組み合わせに注意する必要があります。

これはスイッチ素子の最低 ON 時間とスイッチングの周期によって作られる降圧比の制限により発生します。降圧コンバータでは、スイッチの ON 時間を Vout/Vin の比でスイッチングして低い電圧を作っており、例えば 5V から 1V を作っている時はスイッチの ON 時間は 1V/5V=2/10 となり 20 %の時間 ON し、残りの 80 %の時間は OFF するといった動作を行います。入力電圧が 4 倍の 20V になると 1V/20V=5 %となり、 5 %の時間だけ ON し、残りの 95 %が OFF となりますので入力電圧が高く、出力電圧が低くなるほど ON 時間は短くなります。しかし大電流をスイッチングしているスイッチ回路には ON/OFF を行える最小時間が存在し、一回の ON/OFF によるパルス幅に最小時間の制限があります。

例えば最小 ON 時間が 200nsec の電源IC があり、この IC のスイッチング周波数が 600KHz の場合、スイッチング周期は 1/600KHz=1670nsec となります。 ON パルス幅は 200nsec 以下には出来ないので最小 ON 時間/周期 が降圧可能な最小値となりますので 200nsec/1670nsec=0.12 となり入力電圧の 12 %以下の電圧は作れないということになります。

この結果、Vin=24V の場合は 2.88V が最低出力電圧となり、1.2V を出力するには 10.0V 以下の電圧である必要がありますので 24V や 12V の電源からは 1.2V を作れない事になります。1 段の降圧で大きな降圧比の電源を可能とするには最小 ON 時間が短い高速スイッチング素子をもった製品を選択する方法がありますが、高速スイッチング能力の製品には大電流を流せる製品が少なく、選択肢が狭まります。もう一つの解決方法は、スイッチング周波数(スイッチング周期)を変更可能な製品の選択です。この場合も製品の動作速度である最小 ON 時間は変更できませんがスイッチング周波数を下げる事により 最小 ON 時間/周期 を小さくする事ができるので使用可能となる場合もありますが、24V から 1.2V を作るには最小 ON 時間が 200nsec の場合、周期=200nsec×24V/1.2V=4000nsec となるのでスイッチング周波数を 250KHz 以下まで下げないとこの条件では使用できませんのでインダクタやコンデンサが大きくなり、電源の応答速度もその分、低下してしまいます。

この様な制限がある場合は高い入力電圧からコア用などの低電圧を作る時には、図の様に高電圧から 3.3V や 5V などの中間電圧を作り、そこから低入力耐圧の降圧コンバータを使って 2 段階に電圧を落とすと言った使用方法が一般的となります。

降圧コンバータ使用方法

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