ブートストラップ・コンデンサの働き

降圧型スイッチング DCDCコ ンバータのハイサイド部分を見ると BOOT ピンがあって小容量のコンデンサが付いている製品と BOOT ピンそのものが無い製品があります。このコンデンサが何をしているのか、このコンデンサが必要な降圧型コンバータと必要で無いコンバータでは何が違うのでしょうか。

BOOT ピンの有る製品と無い製品の違い

BOOT コンデンサの有る電源 IC BOOT コンデンサの無い電源 IC
BOOT コンデンサの有る電源 ICBOOT コンデンサの無い電源 IC

これらの製品の大きな違いはハイサイドスイッチに P-MOS の FET を使用場合と N-MOS の FET を使用した場合に発生します。ハイサイドスイッチは Vin ピンと PH(SW)ピンの間に接続されます。スイッチが ON している状態ではソース、ドレイン共に電源電圧となっています。では FET スイッチを ON にするためのゲート電圧はどのような電圧が必要となるでしょうか、P-MOS の場合ゲート駆動に必要な電圧はソースに対して負の電圧となります。この電圧が -3V だとするとゲートの電位は 電源電圧 -3V の電圧をかければよいことになりますので電源電圧が 3V 以上有れば入力電圧より低い駆動電圧は容易に作る事ができます。しかし N-MOS の場合は ON させる為にはゲート電圧はソースより高い電圧が必要となります。この為にハイサイドスイッチが N-MOS の場合、電源電圧よりも 3 ~ 5V 高いゲート電圧を作る必要があります。

BOOT ピンに接続されたコンデンサの働き

電源電圧より高い電圧を作るための昇圧コンバータとして使用するのはチャージポンプによる昇圧回路です。スイッチング DCDC コンバータは元々スイッチング動作をしており、PH(SW)ピンは電源電圧と GND 電位を行き来しているのでこの部分を利用します。電源からダイオードを経由してコンデンサを PH ピンに接続します。こうするとスイッチングにより PH ピンが GND になるとコンデンサはダイオードを経由して Vcc-0.7V の電圧まで充電されます。スイッチングにより PH ピンの電圧が電源電圧まで上昇するとコンデンサのー側が電源電圧となるので+側の電位は電源電圧 x2-0.7V まで上昇します。 コンデンサの+側からハイサイドドライバー回路の電源を供給しているとドライバー回路はロウサイドが ON している時も、ハイサイドが ON するときも常に電源電圧 -0.7V の電圧供給を受けられるので安定してゲート駆動を行うことが出来るようになります。

BOOT ピンに接続されたコンデンサの働き

なお、高入力電圧製品ではこのチャージポンプ回路をそのまま使うと電源電圧のほぼ 2 倍の電圧が出来てしまうので入力電圧が24Vの場合48VとなりFETのゲート耐圧を超えてしまいます。この為に 高入力耐圧製品は内部に5V程度の電源を内蔵し、この電源からコンデンサを充電して昇圧を 5V 程度にする回路が入っておりこれによりゲートに高電圧が印加される事を防止しています。

では何故余分な回路が必要にも関わらず回路がシンプルな P-MOS ではなく N-MOS が多く使用されているかというと FET のサイズの差がその理由となっています。P-MOS と N-MOS の FET を比較すると同じシリコンサイズの場合、N-MOS の方は ON 抵抗が数分の 1 になります。同じ ON 抵抗なら FET のサイズを数分の 1 に出来るので N-MOS の方が同じ定格でもチップサイズを小さく出来、安価に IC を製造する事が出来るため、小容量のコンデンサを 1 個追加しただけで作れるブートストラップ回路+N-MOS FET がスイッチ電流の大きな電源 IC では標準的な構成となっています。

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