放熱パッド部分の設計方法

発熱するICを基板に表面実装して基板を放熱器として利用する場合、発熱源である表面実装型のICの放熱パッドをいかに低熱抵抗で基板に熱結合するかがジャンクション温度を低くするために一番重要となります。ここでは熱抵抗を低くするための基板のレイアウトの考察を行います。

ICチップのジャンクション部分と放熱タブ間の熱抵抗は数℃/W程度しかないことが多く、温度上昇のほとんどが基板で発生します。基板自体の対空間熱抵抗は基板の面積に反比例した値となるので基板の面積は一番重要なパラメータですが、いくら大きな基板でも放熱パッドと基板との間の熱抵抗が高いと基板からの温度上昇が大きくなり、その結果ジャンクション温度を大きく上昇させてしまいます。基板が小さくても放熱タブと基板間の熱抵抗を小さくしてトータルでの熱抵抗を下げジャンクションの温度を下げることも不可能ではありません。

サーマルパッド近傍の熱の分布
熱源から周辺への熱伝導を考えると図の様な同芯円を考えると内側の円から外側の円へと熱が伝わってゆくと考えられます。この場合、外側へ行くほど円周が長くなるので、より幅の広いところを同じ熱量が通るため、外側へいくほどリング1個当たりの熱抵抗は下がります。この結果、外側ほどリング間の温度差は縮まり、中心部のリングで発生する温度差が一番大きくなり、温度分布は周辺へ行くほどなだらかとなります。基板の温度分布は、中心の熱源部分がとんがった富士山状となります。このために熱源であるICの直近の部分の基板の熱抵抗を周辺部分より下げられればジャンクションでの温度上昇を下げることができます。

降圧コンバータ使用方法

降圧コンバータ使用方法

サーマルランドによる熱拡散
まず一番重要なのがICのサーマルパッドが半田付けされるサーマルランドと呼ばれる基板の最上面の半田部分周辺の銅パターン部です。この部分はICのチップから熱抵抗の低い金属による接合がされた部分なのでチップからの熱抵抗が非常に低い部分となります。しかしこの部分を半田付けだけのためにデザインすると図Aのようにパッド寸法程度のランドを設けてしまいますが、この周辺はパターンが切断されるためにこのギャップにより周辺への熱抵抗が非常に高くなってしまいます。この部分の銅パターンを図Bの様に出来るだけ大きくすることにより、チップで発生した熱を基板に効率良く伝えることが出来るのと、ランドの周囲長が長くなり、ギャップで発生する熱抵抗が長さに逆比例して低くなり、水平方向にも低抵抗で熱を拡散できるようになります。

図A/B
図 A 図 B


ビアの重要性
サーマルランドを大きくすることにより水平方向の熱抵抗を下げることができますが、表面で発生した熱を効率よく内層の銅と裏面の銅へと導く必要があります。しかし各銅層を絶縁しているエポキシ樹脂層は断熱材に近い熱抵抗を持っており、層間の熱伝導を邪魔します。このために層間の熱抵抗を下げるために使用されるのがサーマルビアです。ビアは通常は層間のパターン間を結び電気的な接続を得るために用いられますが、これを銅のパイプとみなすと熱伝導体として働きます。ビアは薄い銅メッキにより出来ているので1個だけではあまり熱抵抗は低くないのですが、10個、20個と数を多く使用することにより並列化により低い熱抵抗を実現できます。サーマルビアをパワーパッド部あるいはパワーパッド周辺のサーマルランド部に数多く配置し、ICで発生した熱を効率よく内層及び裏面へと伝導志、チップ直近で発生する大きな温度落差を軽減しジャンクションでの温度上昇を緩和することができます。

降圧コンバータ使用方法降圧コンバータ使用方法


なお、基板をヒートシンクとして考える場合、基板内の銅の総量をいかに多くし、基板自体の熱抵抗を下げるかが良い基板を作るうえで重要となります。銅は配線のためパターンに寸断されていますが、パターンとパターンの隙間を塗りつぶし、隙間の面積を最少としてパターン間の熱抵抗と面内の熱抵抗を下げることが重要です。また、できるだけ厚い銅を使って多層化し、出来るだけエポキシ層を薄くして基板の中の銅の含有量を上げることにより、基板の熱抵抗は同じ面積の銅版をヒートシンクとして使用した状態に近づいていき、放熱器としてみた基板として理想状態になります。

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