昇圧コンバータの最大出力電流 Part1

FET を内蔵した降圧コンバータでは“出力電流 1A の降圧コンバータ”というように最大出力電流が規定されており、ユーザーは負荷で必要とされる最大電流に応じて製品を選択する事ができます。しかし昇圧コンバータで規定されているのは多くの場合、昇圧スイッチの最大電流であり、その製品が何 A の出力が可能なのかが書かれている製品はほとんどありません。なぜ昇圧コンバータの多くは出力電流が規定されていないのか、ではあるスイッチ電流の製品は一体いくらの出力電流が可能なのか、といったテーマを降圧コンバータと昇圧コンバータの回路の違いから始めて、4 回に分けて説明します。

降圧コンバータと昇圧コンバータの回路を比較してみる

まず、図 1 に同期整流方式とダイオード整流方式の降圧コンバータを書いてあります。赤い線はハイサイドスイッチが入った時の電流の経路、青い線はロウサイドスイッチが入った時の電流経路です。赤の時に高い入力電圧によりインダクタ電流が増加し、青の時に入力電圧がなくなりインダクタ電流は減少する、を交互に繰り返しながら出力に入力より低い電圧の電流を供給します。

図 1 - 降圧コンバータの基本回路と電流経路


図 2 に同期整流方式とダイオード整流方式の昇圧コンバーの基本回路を書いてあります。青い線はロウサイドスイッチが入った時の電流経路で赤い線はハイサイドスイッチが入った時の電流の経路です。青の時に低い入力電津からインダクタにエネルギーを蓄積し、赤の経路で開放して 電源電圧+インダクタの発生する高電圧 による高電圧を作り出力コンデンサを充電し、負荷に高電圧を供給します。

図 2 - 昇圧コンバータの基本回路と電流経路


ダイオード整流方式の回路では随分違って見えますが、同期整流方式同士を比べて見るとこの 2 つの電源回路を良く見ると、スイッチとインダクタの構成は左右対称になっており入力と出力を左右逆にするとスイッチとインダクタ、コンデンサの接続は全く同じだという事がわかります。図 3 に同期整流方式の降圧コンバータを左右反転で書いて昇圧コンバータと並べて見ます。

図 3 - 降圧コンバータを左右反転した図 と 昇圧コンバータの比較


左右を見比べると回路構成は全く同じで、各々のスイッチが入ったときの電流の向きが逆になっています。 同じインダクタとスイッチの構成で入出力を逆にして、逆方向に電流を流すと降圧コンバータはそのまま昇圧コンバータになります。つまり高い電圧から低い電圧を作っている降圧コンバータの動作をビデオにとって逆転再生すると低い電圧から高い電圧を作る昇圧コンバータになるということになります。

降圧コンバータも昇圧コンバータも実は基本的な回路構成は同じで、片方を入力とし、反対側の出力とし、出力とした方から負帰還制御を行い各々のスイッチのタイミングを制御し、逆方向に電流を流して制御しているという部分が異なっているだけという事になります。また、同期整流方式の降圧コンバータでは出力電圧に過渡応答などによるオーバーシュートが発生すると、出力からシンクして電流を逆流させて入力に回生して出力電圧を強制的に下げるという動作を行ないますが、実はこの時、低い出力電圧から高い入力電圧へと昇圧動作をしている事になります。では Part2 では降圧コンバータの各々のスイッチにどういった電流が流れているかを考えてみます。

Part2 へ続く)

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