JAJA697 February   2022 INA181 , INA240 , INA290

 

  1.   はじめに
  2.   主な設計上の検討事項

はじめに

電流センス・アンプとは

電流センス・アンプは、電流シャント・モニタとも呼ばれ、高精度にマッチングされた抵抗ゲイン・ネットワークを備えた差動アンプであり、次に示すような特徴を備えています。

  • センス素子 (通常はシャント抵抗) での電圧降下を測定することにより、電流を監視するように設計されています。
  • 使いやすく高精度で、ノイズの影響を受けにくくなっています。
  • 数十μA から 数百A までの電流に対応可能。
  • -16V~+80V の同相電圧をネイティブにサポートし、追加回路により最大数百ボルトまでサポート。

電流センス・アンプを使用したシステムの利点

  • リアルタイムの過電流保護
  • 電流と電力の監視によりシステムを最適化
  • 電流測定による閉ループ・フィードバック

主要なパラメータ

同相範囲 この仕様は、グランドを基準としてアンプの入力での DC 電圧範囲を定義します。電流センス・モニタは、通常、チップの電源電圧よりもずっと高い同相電圧に対応できるように設計されています。たとえば、INA240 は、最小 2.7V の電源で動作しながら、-4V~+80V の同相電圧を許容できます。
オフセット電圧 これは、アンプの入力での差動 DC 誤差です。従来の方法では、高いオフセットを持つアンプの影響を低減するために、より大きいシャント抵抗を使用して、測定される電圧降下を大きくしていました。現在、TI では、オフセットがわずか 10µV の電流センシング・ソリューションを提供可能です。これによって低電流での測定精度を高め、より小さいシャント抵抗を使用して、システムの効率を向上させることができます。
ゲイン 電流センス・アンプは、高精度にマッチングされた抵抗ゲイン・ネットワークを内蔵することによって、温度変化やプロセスのばらつきに対して堅牢な性能を備えており、さまざまなゲインを選択できます。固定ゲイン・アンプのゲインは、0.125V/V から 1000V/V まで選択可能で、ゲイン誤差はわずか 0.01% です。
温度安定性 電流センス・アンプは、アンプの他にすべてのゲイン設定抵抗を内蔵しているため、小型化、温度ドリフトの統一を実現できます。これにより、規定の温度範囲全体にわたって堅牢な電流測定が可能です。このようにして得られる温度安定性は、ディスクリート実装よりも電流センシング・アンプが優れている点の 1 つです。

アナログ出力
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アナログ信号処理機能全体を集積し、電圧出力または電流出力を提供
デジタル出力
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シグナル・コンディショニング・パス全体を集積し、標準的な 2 線式デジタル・インターフェイスを使用
コンパレータ出力
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負荷電流がスレッショルドを上回った場合は、シンプルな ALERT 信号を出力
内蔵シャント
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低ドリフト、高精度の集積型センス素子を実現