JAJSDZ3 October   2017 UCC256304

PRODUCTION DATA.  

  1. 特長
  2. アプリケーション
  3. 概要
    1.     概略回路図
  4. 改訂履歴
  5. ピン構成および機能
    1.     ピン機能
  6. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱特性
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 スイッチング特性
    7. 6.7 代表的特性
  7. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 機能説明
      1. 7.3.1  ハイブリッドヒステリシス制御
      2. 7.3.2  RVCC 12V電源
      3. 7.3.3  帰還信号経路
      4. 7.3.4  オプトカプラ帰還信号入力およびバイアス
      5. 7.3.5  システム外部停止機能
      6. 7.3.6  ピック・ロワー・ブロックとソフトスタート・マルチプレクサ
      7. 7.3.7  ピック・ハイヤー・ブロックとバースト・モード・マルチプレクサ
      8. 7.3.8  VCRコンパレータ
      9. 7.3.9  共振容量電圧検知
      10. 7.3.10 共振電流検知
      11. 7.3.11 バルク電圧検知
      12. 7.3.12 出力電圧検知
      13. 7.3.13 高電圧ゲート・ドライバ
      14. 7.3.14 保護機能
        1. 7.3.14.1 ZCS領域回避
        2. 7.3.14.2 過電流保護(OCP)
        3. 7.3.14.3 過出力電圧保護(VOUTOVP)
        4. 7.3.14.4 過入力電圧保護(VINOVP)
        5. 7.3.14.5 低入力電圧保護(VINUVP)
        6. 7.3.14.6 ブートUVLO
        7. 7.3.14.7 RVCC UVLO
        8. 7.3.14.8 過熱保護(OTP)
    4. 7.4 デバイスの機能モード
      1. 7.4.1 バースト・モード制御
      2. 7.4.2 高電圧起動
      3. 7.4.3 Xコンデンサ放電
      4. 7.4.4 ソフトスタートとバースト・モード閾値
      5. 7.4.5 システム状態/異常検出ステートマシン
      6. 7.4.6 波形発生器ステートマシン
  8. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1  WEBENCH®ツールによるカスタム設計
        2. 8.2.2.2  LLC電力段要件
        3. 8.2.2.3  LLCゲイン範囲
        4. 8.2.2.4  LnとQeを選択する
        5. 8.2.2.5  等価負荷抵抗を求める
        6. 8.2.2.6  LLC共振回路に必要な部品特性を求める
        7. 8.2.2.7  LLC 1次側電流
        8. 8.2.2.8  LLC2次側電流
        9. 8.2.2.9  LLC変圧器
        10. 8.2.2.10 LLC共振インダクタ
        11. 8.2.2.11 LLC共振容量
        12. 8.2.2.12 LLC1次側MOSFET
        13. 8.2.2.13 アダプティブ・デッドタイムの設計における考慮事項
        14. 8.2.2.14 LLC整流ダイオード
        15. 8.2.2.15 LLC出力容量
        16. 8.2.2.16 HVピン直列抵抗
        17. 8.2.2.17 BLKピン分圧器
        18. 8.2.2.18 BWピン分圧器
        19. 8.2.2.19 ISNSピン微分器
        20. 8.2.2.20 VCRピン・分圧容量
        21. 8.2.2.21 バースト・モード・プログラミング
        22. 8.2.2.22 ソフトスタート容量
      3. 8.2.3 アプリケーション曲線
  9. 電源に関する推奨事項
    1. 9.1 VCC容量
    2. 9.2 ブート容量
    3. 9.3 RVCC容量
  10. 10レイアウト
    1. 10.1 注意点
    2. 10.2 レイアウト例
  11. 11デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 11.1 デバイス・サポート
      1. 11.1.1 開発サポート
        1. 11.1.1.1 WEBENCH®ツールによるカスタム設計
    2. 11.2 ドキュメントのサポート(該当する場合)
      1. 11.2.1 関連資料
    3. 11.3 ドキュメントの更新通知を受け取る方法
    4. 11.4 コミュニティ・リソース
    5. 11.5 商標
    6. 11.6 静電気放電に関する注意事項
    7. 11.7 Glossary
  12. 12メカニカル、パッケージ、および注文情報

パッケージ・オプション

メカニカル・データ(パッケージ|ピン)
サーマルパッド・メカニカル・データ
発注情報

ハイブリッドヒステリシス制御

UCC256304は、新しい制御方式であるハイブリッドヒステリシス制御(HHC)を採用して、クラス最高の入力電圧/負荷過渡応答を実現しています。この制御方式により、位相の補償を非常に設計しやすくなります。また、軽負荷管理もより簡単に効率よく行うことができます。入力電圧過渡応答特性の向上により、バルク容量/出力容量の値を低減し、システム・コストを削減できます。

HHCは、従来の周波数制御と電荷制御を組み合わせた制御方式であり、いわば周波数補償ランプを追加した電荷制御です。従来の周波数制御に比べて、電力段の伝達関数が2次系から1次系に変わるため、補償が非常に簡単です。この制御動作は入力電流に直接関係するため、入力電圧/負荷過渡応答はクラス最高のものとなります。電荷制御に比べて、ハイブリッドヒステリシス制御では、周波数補償ランプが追加されることにより、不安定な状態を回避できます。この周波数補償により、システムは常時安定し、出力インピーダンスも低減します。出力インピーダンスが低いため、電荷制御に比べて過渡応答性能は向上します。

要約すると、HHCによって解決される問題は次のとおりです。

  • LCCコンバータによるクラス最高の負荷/入力電圧過渡応答を支援
  • 小信号伝達関数が1次系に変わり、位相の補償が非常に簡単であり、極めて広い帯域幅を確保できる
  • 周波数補償により本質的に安定
  • バースト・モード制御の高効率最適化がはるかに簡単になる

Figure 28 にUCC256304におけるHHCの実装―分圧容量(C1およびC2)と2つの整合する制御電流源を示します。

UCC256304 fig30_sluscu6.gifFigure 28. HHCの実装

共振容量電圧は、C1およびC2からなる分圧容量によって分割されます。電流源はゲート・ドライブ信号によって制御されます。1次側スイッチがオンのときには、1次電流源をオンして、定電流を分圧容量に注入し、2次側スイッチがオンのときには、2次電流源をオンして、同量の定電流を分圧容量から引き出します。この2つの電流源が、三角波形を形成する補償ランプをVCRに追加します。電流源は、基準電圧Vrefにより供給されます。この電圧は同相電圧VCMの2倍に等しいか、それを上回る必要があります。分割された共振容量電圧と補償ランプ電圧が、その後合わさってVCR電圧が得られます。周波数補償ランプが大半を占めれば、VCR電圧は三角波のように見え、制御は直接周波数制御と同様になります。共振容量電圧が大半を占めれば、VCR電圧の形状は実際の共振容量電圧のように見え、制御は電荷制御と同様になります。このため、この制御方式は「ハイブリッド」と呼ばれ、補償ランプは周波数補償と呼ばれています。

このセットアップには固有の負帰還があり、1次側と2次側を定時でバランスをとり、またVCRの同相電圧をVCMに維持できます。

この新しい制御方式には、VCRとVCOMPという2つの入力信号が必要です。VCRは、スケールダウンしたバージョンの共振容量電圧と周波数補償ランプの和です。VCOMPは電圧ループ補償出力です。以下の波形は、VCRおよびVCOMPに基づく1次側および2次側スイッチの制御を示しています。VCRの同相電圧はVCMです。

UCC256304 fig31_sluscu6.gifFigure 29. HHCのゲート・オン/オフ制御原理

VCOMPとVCM (3V)に基づき、VthhとVthlという2つの閾値が作成されます。

Equation 1. UCC256304 sluscu6_equation1.gif
Equation 2. UCC256304 sluscu6_equation2.gif

VCR電圧をこの2つの閾値と比較します。VCR>Vthhであれば1次側スイッチをターンオフし、VCR<Vthlであれば2次側スイッチをターンオフします。HOおよびLOのオン・エッジは、アダプティブデッドタイム回路により制御されます。