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第2章 デジタル信号処理入門 (サンプリング定理/エイリアシング)

アナログ信号からデジタル信号を得るにはサンプリング(標本化)を行います。ここでは、サンプリング定理とエイリアシングについて紹介します。

サンプリング周波数

図:アナログ信号からデジタル信号への変換は、ある時点での信号の振幅を読み取り数値化していく作業になります。その読み取る作業をサンプリング(標本化)と言います。
変換ですから得られたデジタル信号は元のアナログ信号を表現していなければ行けません。そこで変化の様子を表すように複数のポイントをサンプリングしていくことになります。

図:このようにサンプリングしてみました。
直感的にこの程度の頻度であれば、得られたデジタル信号から元のアナログ信号が再現できそうですね。

図:

もうすこし具体的にしましょう。
このサイン波は 4 秒で 1 周期、すなわち 0.25 Hz の信号です。その信号に対し 1 秒間隔でサンプリングしています。

図:
サンプリング周期 T = 1 秒
サンプリング周波数 fs = 1 Hz

アナログ信号の情報をサンプルする速さ
(サンプリング周期の逆数)

このサンプリングをする周期のことをサンプリング周期と呼び、その逆数がサンプリングの速さ(頻度)を表すサンプリング周波数になります。
この例ではサンプリング周期が 1 秒でサンプリング周波数が 1 Hz ということになります。

図: サンプリング周期 T= 2 秒
サンプリング周波数 fs= 0.5 Hz

別な例で見てみましょう。
同じ 0.25 Hz の信号に対して、今度は 2 秒間隔でサンプリングしてみます。
サンプリング周期が 2 秒、サンプリング周波数が 0.5 Hz ということになりますね。
さて、この場合、得られたデジタル信号から元のアナログ信号を再現できるでしょうか?上がって下がってという特長はかろうじて残っています。

図:

更に、今度は 3 秒間隔でサンプリングしたことを考えてみましょう。 サンプリング周期が 3 秒で、サンプリング周波数が 0.33 Hz です。

図:

得られたデジタル信号から元のアナログ信号を再現することができますか?

図:

おわかりの通り、元の信号が再現できない可能性があります。

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サンプリング定理

図:

この例から、元の信号を再現するにはある程度の頻度でサンプリングしなければならないことが分かります。そして一般にサンプリング周波数は取り扱う周波数の 2 倍以上に設定しなければならないことが知られています。これをサンプリング定理といいます。

取り扱う信号が周波数 fc より高い周波数成分を持たないとき、サンプリング周波数 fs は
  fs≧2fc
であれば、サンプリングされた信号から元の信号は完全に再現される。

このサンプリング定理は非常に重要でこの定理に基づいてサンプリングされていないデータはデジタル信号処理をする際に問題を生じてしまいます。

図:

0.25 Hz の信号を 1 Hz でサンプリング

このサンプリング定理についてもう少し詳しく見ていきます。
0.25 Hz の信号に対して、1 Hz のサンプリングをした例を取り上げます。これはサンプリング定理を満たしていますね。
周波数の議論をしてますから、判りやすくするために周波数領域で話をしましょう。

図:

周波数領域で表現

フーリエ変換し、周波数領域で表現するとこの様になります。

図:

サンプリング定理を満たしていても、得られたデジタル信号からアナログ信号を再現しようとすると、点線のような別な信号も再現できますね。

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偽の信号

図:サンプリング定理

つまりサンプリング定理を満たしていても、デジタル信号から元の信号を再現しようとすると偽の信号が現れるのです。

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折り返し信号(エイリアシング)

図:

この偽の信号は偽の信号は
  サンプリング周波数×n±入力信号の周波数(n=1,2,... ..)
に現れ、サンプリング周波数の前後に折り返されて出現するので折り返し信号(エイリアシング)と呼ばれています。

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もう一度、サンプリング定理

図:サンプリング定理

デジタル信号から元のアナログ信号を再現するには、本物と偽物の区別ができなければいけません。そしてサンプリングを行うときに、サンプリング定理を満たしているという保証があれば、本物の信号と偽の信号が区別できるのです。

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