故障解析

故障解析(Failure analysis、FA)は、TI 製品の製造または応用で発生した可能性のある課題を理解するための広範囲の解析手法と技法で構成されています。TI の FA エンジニアやアナリストは、複雑なプロセスに取り組むための訓練を受けており、設計、プロセス、アセンブリ、テストおよびアプリケーションに精通しているほか、物理学、電気工学、化学、機械工学に関する詳細な知識もあります。

TI は最新の機器とエンジニアリング・エキスパートを擁しており、半導体とパッケージングの解析を通じて問題の理解と解決を進めます。世界各地にある解析ラボは、 customer returns(お客様からの返却)、信頼性に関係する故障、製造時の不具合、設計に関するサポートを担当しています。これらのラボは、ユニット解析(単体解析)、プロセス特性評価、破壊を伴う物理解析、構造解析に使用される多数のツールを取り揃えています。TI の FA 拠点は自律的に運営されていますが、世界各地の TI 拠点は互いに協力し、情報とリソースを共有しています。

故障解析プロセス

TI の FA プロセスは、直接的で洗練された解析測定システム、ベンチ機器、他のさまざまな手法を通じて、故障の原因の明確な識別につながる電気的および物理的な証拠を発見します。適切な機器と作業プロセスを使用して、故障の原因となった場所は特定され、ダイ上での切り分けがされ、物理的な特性評価が行われます。その後、FA チームは他のエンジニアリグ部門(製品技術、テスト、設計、アセンブリ、プロセス)と協力し、解析を前進させます、これらのプロセスを支援する社内外の連絡先に対して、進捗状況、結果、結論を伝え、故障の原因を抑制または排除するための変更を実施します。

情報の検討と故障の確認

お客様から報告される故障関連資料は、効率的な FA にとって非常に重要であり、TI のお客様返却プロセスを通じて提出される必要があります。資料には、デバイスの履歴、使用状況、故障の特性、デバイスを返却する前に明らかになった解析の発見事項に関する明確かつ詳細な説明を含めます。この情報は、調査に役立ち、より適切な時間枠で問題を解決することにつながります。

故障を報告するときにお客様が記載することが望まれる、最小限の一連の情報は次のとおりです。

  1. TI が受け取るまでにパーツに対して実施した取り扱い。パーツを取り外し、取り扱うときは、電気的 / 物理的な損傷が生じないように。またパッケージがテスト可能な状態に維持されるように、注意を払う必要があります。
  2. 故障の履歴と、お客様における故障の発生率。これが新しい製品か、またはこの時期に何らかの変更を加えたか?
  3. 故障が発生したときのアプリケーションの条件。お客様の回路図を TI に提出することが可能かどうか?
  4. アプリケーション上の故障モードと、返却されたパーツに対してそのモードがどのように関連しているか。

FA チームは TI の履歴データベースを参照し、付加的な見解とガイダンスを提供します。情報全般を検討した後、初期解析の方針を確定します。それ以降の解析手順に進む前に、報告された故障モードを確認(再現)する必要があります。報告された故障モードとの適切な関連付けを行う事で、それ以降の発見を確実にすることができます。カーブ・トレーサーのような試験機器や、アプリケーション・ベースの試験機器、また生産レベルの自動化試験機器(automatic test equipment、'ATE)を使用して、電気的特性評価を行うこともあります。

非破壊試験(NDT)

FA 事態はリバース・エンジニアリングであり、返却された製品に対する破壊評価を伴うこともあります。ダイを露出させるために少なくとも部分的にパッケージを破壊することになるので、パッケージやアセンブリに関連する故障メカニズムを観察するために、最初は非破壊試験を実施します。TI が採用している最も一般的な手法は、パッケージ内部のアセンブリやモールド工程での異常を見分けるための超音波顕微鏡法と放射線(X 線)検査です。

内部観察

TI は内部光学検査を実施し、明らかなアセンブリ異常やウェハ製造の課題を確認します。故障モードが変化したかどうかを判定するために、再試験も推奨されます。

全体的な切り分け

多くの場合、内部観察だけでは明確な故障メカニズムは明らかになりません。テクノロジーと試験可能性のレベルによっては、FA ラボは故障サイト(発生場所)を切り分けるために 1 つまたは複数の手法を使用します。このような手法の多くは、熱放出や発光など、故障サイトの特性を観察することを試みます。

局所的な切り分け

故障サイトを、ダイ上の単一ブロックや単一ノードなどに局所的に切り分ける手法は一般的ですが、重要な手順です。ただし、これらの作業には時間を費やす可能性もあります。ほとんどの場合、包括的な内部プローブ作業が必要で、一般的に各層ごとの剥離を伴う反復作業になります。剥離処理(deprocessing)とは、一度にダイの 1 層を取り除くプロセスであり、下層の構造を露出させるために、化学薬品溶液、ドライ・プラズマ・エッチング、および機械的研磨手法を使用することがあります。このプロセスの破壊作業上の性質と、重要な情報を失う可能性があることから、正しい手法を選択することが不可欠です。このプロセスを実行している間、FA アナリストは、プローブ作業や、潜在的な異常を明らかにするための他の特定の手法を実施します。プローブ作業の観点からは、レイアウト / 回路ナビゲーション・ツールや集束イオン・ビーム(focused ion beam、FIB)を使用して、コンポーネントと回路の切り分けを支援します。

故障サイトの解析

可能性の高いサイトを特定または明らかにした後、文書化と解析を実施します。形状構造と材質構造のどちらが必要になるかに応じて、それ以降の解析手法を採用します。

結論の報告

解析が完了した後、物理的な異常が故障モードに及ぼす影響を記載した書面形式の報告書で作業を文書化し、根本原因解析を実施するための十分な記述も含めます。