◆AC 結合と DC 結合

AC 結合と DC 結合は、2 つの回路の間や、2 つの基板の間、2 つの装置の間などを電気信号で接続する方式のこと。AC 結合は交流結合、DC 結合は直流結合とも呼ばれている。DC 結合は、その名の通り直流成分を送ることができるが、AC 結合は直流成分を送ることができない。従って、伝送するパルス信号に直流成分が含まれないように工夫する必要がある。

グラウンドの電位差を吸収

AC 結合と DC 結合は、適用対象となる回路や基板、装置によって使い分ける必要がある。通常、AC 結合は、次のような 2 つの場合で使われている。

1 つ目は、ドライバ(送信回路)とレシーバ(受信回路)のロジック信号仕様が異なるときである。例えば、ドライバが ECL で、レシーバが PECL といった場合だ。この場合、ロジック信号仕様が異なるため、DC 結合ではデータの「0」と「1」とのしきい値が異なりデータを正しく伝送できない。そこで AC 結合の出番となる。

さらに、ロジック信号仕様が同じでも AC 結合が適用される場合がある。それは、ロジック信号仕様に CML や LVPECL などを使う場合である。これらの信号仕様は、標準規格が存在しないため、同様にドライバとレシーバのしきい値電圧(スレッショルド電圧)が異なるケースがあるからだ。特に、ドライバとレシーバに異なるメーカーの半導体チップを使うときは、AC 結合を採用した方が安全である。

もう 1 つは、2 つの回路の間や 2 つの基板の間、2 つの装置の間に、グラウンド電位の差が存在する場合だ。この差は、レシーバにおいて DC オフセット電圧として現れる。DC オフセット電圧が「0」と「1」とのしきい値を正しく受信側が判断できれば問題ない。しかし、1/2×Vcc(電源電圧)を超えると、DC 結合では大問題となる。受信信号の電圧レベルが DC オフセット電圧の分だけ動いてしまい、データを正確に伝送できなくなるからだ。

AC 結合を採用すれば、上記の 2 つの場合でも、データを問題なく伝送できるようになる。AC 結合の簡単な回路図を図 1 に示す。DC 成分は、コンデンサによって遮断される。そしてレシーバの入力波形は、バイアス電圧(VBIAS)を中心に低電圧側と高電圧側に振れることになる。このため、過大な振幅差がない限り、ロジック信号形式が違ってもデータを正確に伝送できるわけだ。

ただし、AC 結合には欠点もある。それは、DC バランスをとる必要があることだ。具体的には、伝送するデータの「0」と「1」の数をそれぞれ 50%にしなければならない。また、「0」や「1」がいくつも連続するデータ波形は許されない。一般に、DC バランスを確保する際は、8B10B 方式やデータに DC バランス・ビットの追加といった符号化処理が欠かせない。その分だけ回路が複雑になり、コストが上昇する。

従って、電源電圧とグラウンド電位が同じプリント基板上の半導体チップの間を接続する場合などは、通常 DC 結合を採用している。その方が、手軽で安価に実現できる。

図 1 AC 結合の回路図
コンデンサは直流成分をカットするために使う。DC ブロッキング・コンデンサと呼ばれる。レシーバの入力波形は、バイアス電圧(VBIAS)を中心に低電圧側と高電圧側に振れることになる。

高速インターフェイスは AC 結合

AC 結合は、DisplayPort や HDMI、DVI、G ビット Ethernet といった高速インターフェース技術のほとんどで採用されている。CML(Current Mode Logic)を使った 10G ビット/秒の高速インターフェイス技術も AC 結合だ。

2014 年 4 月 30 日
(記事中の情報はすべて掲載時点のものです)
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