◆イコライザ

イコライザ(equalizer)とは、データ伝送で使われるシグナル・コンディショニング(信号調整)技術の 1 つ。伝送信号の周波数特性を最適化するため、フィルタ回路などを使って、その特性を調整する補償回路である。プリエンファシスやデエンファシスと同様に、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)や CML(Current Mode Logic)といった高速差動シリアル伝送方式で盛んに使われている技術である。

一般に、高速な差動信号を送る配線ライン(伝送線路)は、ローパス・フィルタ(低域通過フィルタ)の役割を果たす。つまり、そこを伝搬する信号の低周波成分はそのまま通過できるが、高周波成分は大きく減衰してしまう。その減衰量は、伝送距離が長ければ長いほど、周波数が高ければ高いほど大きくなる。従って、高速な差動信号を長距離送る場合は、シンボル間干渉(ISI:Inter-Symbol Interference)ジッタが大きくなってしまい、データを正確に伝えることが困難になる。

こうした問題を解決するために使われている方式の 1 つがイコライザである。イコライザは、受信(レシーバ/デシリアライザ)側で実行するシグナル・コンディショニング技術である。伝送線路のローパス・フィルタ特性によって失われてしまう高周波成分を受信側で持ち上げる(ブーストする)ことで補償する。

例えば、ある差動ケーブルで LVDS 信号を 10m 伝送すると、1.56GHz の周波数成分が約 18dB も減衰(約 1/8 に減衰)してしまう(図 1)。このままでは、ISI ジッタが大きすぎて、データを正確に送ることができない。そこで、イコライザを送信側に適用して、1.56GHz の周波数成分を約 18dB にブーストする。その結果、イコライザを適用する前はアイ・パターンがまったく開いていなかったが、適用後にはアイ・パターンを完全に開かせることが可能になる。

図 1 ケーブルのローパス・フィルタ特性と、イコライザのブースト機能
ケーブルは、ローパス・フィルタとして機能する。この例では、差動信号を 10m 伝送した際に、1.56GHz 成分が約 18dB も減衰する。そこで、この減衰した成分を補うためにイコライザを使用する。図右のように、各周波数成分の減衰量に合わせて、ブースト量を設定する。

大きな信号減衰にも対処できる

シグナル・コンディショニング技術には、イコライザのほかにも、送信(トランスミッタ/シリアライザ)側で実行するプリエンファシスとデエンファシスがある。実行する場所は異なるものの、「伝送線路で失われる周波数成分を補償する」という基本機能は同じだ。

それではイコライザとプリエンファシス/デエンファシスは、どのように使い分ければよいのか。使い分けの目安になるのは、減衰量の大きさである。例えば、ある周波数成分の減衰量が 34dB(1/50)と大きな伝送線路を考えてみよう。これをプリエンファシスで補償する場合は、その周波数成分を約 50 倍に高めて伝送しなければならない。これでは信号振幅が大きくなりすぎて現実的ではない。

一方、デエンファシスを使う場合は、低周波成分を 1/50 に抑える必要があるので信号振幅が小さくなりすぎてしまう。いずれの場合も、LVDS/CML 信号を正しく伝送できない。そこで減衰量が大きな場合は、イコライザに頼らざるを得ないわけだ。

2014 年 4 月 30 日
(記事中の情報はすべて掲載時点のものです)
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