◆全高調波歪み(THD)

全高調波歪み(全高調波歪み率)とは、信号に含まれる高調波成分すべての実効値の総和と、基本波成分の実効値の比を表した特性値のこと。単位は dB、もしくは % を使用する。英語では「Total Harmonic Distortion」と記述するため、その頭文字を取った THD という名称で呼ばれることが多い。

全高調波歪みは、その値が小さければ小さいほど歪みが小さいことを意味し、大きければ大きいほど歪みが大きいことを示す。一般に、AD コンバータや DA コンバータ、オーディオ・アンプ、オペアンプなどの性能を示す際に利用されている。

発生理由は非線形性にあり

通常、データ・コンバータやアンプなどは、増幅機能が搭載されているため、入力と出力の関係が非線形となる。従って、入力が純粋な正弦波であっても、出力にはその高調波成分が含まれてしまうことになる(図 1)。どの程度の次数の高調波が含まれるのか。それは、それぞれの IC の非線形性の強さで異なる。そこで、全高調波歪みでは、2 次~n 次までの高調波成分すべての実効値を求め、基本波成分の実効値と比較することで算出している。

図 1 高調波歪みの実例
テキサス・インスツルメンツのオペアンプ IC「OPA847」の第 2 次高調波と第 3 次高調波をプロットしたグラフである。

なお、全高調波歪みに近い特性値として、全高調波歪み+雑音(THD+N)が存在する。高調波成分の実効値のほかに、雑音(ノイズ)成分の実効値を加えてから、基本波成分の実効値と比較することで、その値を求めている。オーディオ・アンプなどでは頻繁に登場する特性値である。

2014 年 4 月 30 日
(記事中の情報はすべて掲載時点のものです)
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