◆SNR と SFDR

SNR と SFDR は、いずれも AD コンバータなどのダイナミック特性を示す代表的な指標として用いられている。SNR は「Signal-to-Noise Ratio」の略で、日本語では信号対ノイズ比と呼ぶ。SN 比、S/N 比、S/N と表記することもある。AD コンバータだけでなく、アナログ回路の一般的な性能指標として、計測や音声、画像、通信などのさまざまな分野で用いられている。

SNR は、一般に

SNR=(信号電力の実効値)/(ノイズ電力の実効値)

で求められ、通常は対数を取って dB で表す(図 1)。信号をフルスケール値で表現する場合は、単位に dBFS を使う。

図 1 SNR の定義

AD コンバータでは、ノイズには量子化ノイズが含まれているため、SNR は分解能 N の影響を受ける。量子化ノイズ以外のノイズがない理想的な N ビットの AD コンバータに正弦波信号を入力したときの SNR は、

SNR=6.02N+1.76[dB]

となる。実際の AD コンバータでは、量子化ノイズ以外のノイズの影響が大きいため、当然これよりも SNR は低い値になる。

SFDR は「Spurious Free Dynamic Range」の略で、日本語では通常そのままカタカナ読みで「スプリアスフリー・ダイナミックレンジ」と呼ぶことが多い。スプリアスは「偽」という意味である。交流信号を扱う回路で元々の信号には含まれていない周波数成分が発生する。その不要成分を指している。

AD コンバータに正弦波状の搬送波信号を入力すると、非線形性に起因する高調波成分がスプリアスとして発生する。このスプリアスのうち最も大きいものと入力信号の比を、スプリアスの影響を受けない信号のダイナミックレンジという意味で SFDR と呼ぶ(図 2)。このとき、搬送波(carrier)を基準として SFDR を dB で表すことから、単位には dBc を使うことが多い。

図 2 SFDR の定義
2014 年 4 月 30 日
(記事中の情報はすべて掲載時点のものです)
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