X 線システム

X 線:テキサス・インスツルメンツ(TI)の医療用および歯科用ソリューション

設計上の考慮事項

デジタル X 線イメージングは、放射線医学における革新的な診断技術です。従来の X 線システムでは、各部分の信号減衰によって、元の X 線信号の 60% 以上の劣化が生じます。個々の部分がアプリケーションに合わせて最適化されていても、X 線信号はシステムの各段階で幾分か減衰します。その結果、一般的に画像生成に使用されるのは、元の画像情報の 40% 未満です。デジタル X 線イメージングでは、デジタル検出器を追加することで、元の画像情報を 80% 以上取得できる可能性があります。また、さまざまな後処理技術を使用して、画像をさらに向上させることができます。これ以外にも、デジタル X 線技術には次のような利点があります。患者への被曝量の低減、写真処理不要による診断時間の短縮、写真処理用の薬品不要によるコストの削減、画像データの処理による目的領域の強調と無関係な情報の省略、関連性のある他の患者の RIS/HIS システム情報と画像データの組み合わせ、ネットワーク経由による任意の場所への迅速な情報送信、すべての必要な情報の最小の容量への圧縮などが挙げられます。デジタル X 線技術には、直接と間接の 2 つの方式があります。

直接変換

直接変換では、フラットパネルのセレニウム検出器が X 線を直接吸収し、個々のピクセルの電荷に変換されます。間接変換では、X 線信号をまず光に変換し、その後電荷に変換されます。電荷結合素子(CCD)アレイとコンピューター断層撮影は、どちらも間接変換技術を使用しています。CCD 遷移技術は、複数の CCD が光ファイバ経由でシンチレータ・プレートと結合されます。コンピューター断層撮影では、光励起されたプレート上の電子を捕捉し、それを計算処理して画像データを生成します。どちらの方式の場合も、ピクセルに投影された X 線強度に比例した電荷は、薄膜トランジスタ(TFT)ストレージ・キャパシタに保存されます。これらのピクセルが集まって、FDP(Flat Detector Panel)を形成します。これらの電荷は、読み出し回路によって FDP から読み出し、デジタル・データに変換します。

次のブロック図には、FDP 内の電荷をデジタル・データに変換する直接変換に必要な読み出し回路が示されています。この回路は、アクイジション・チェーンとバイアス・チェーンの 2 つのチェーンで構成されています。アクイジション・チェーンの最初のアナログ・フロント・エンドは、異なる FDP(チャネル)ストレージ・キャパシタ上の電荷を多重化し、電圧に変換します。バイアス・チェーンでは、中間バイアス・ゲート制御回路を経由して TFT アレイ用のバイアス電圧が生成されます。デジタル制御およびデータ・コンディショニングは、FPGA によって制御されます。また、高速インターフェイス(シリアル、LVDS、光学)を経由した外部画像処理ユニットとの高速シリアル通信も FPGA によって管理されます。温度センサ、DAC、アンプ、および高入力電圧に対応したスイッチング・レギュレータも主要なシステム・ブロックです。これらのブロックはイネーブル・ピンと、アクイジション・チェーン内の他のブロックとの間のクロストークが発生しないように、周波数が同期していることが必要です。FDP ピクセル数によって、ADC のチャネル数と ADC の速度が決まります。ADC 速度は、静止画/動画アクイジションによっても影響を受けます。静止画アクイジションでは、単一の画像が 1 秒以内に更新され、動画アクイジションは画像が 30Hz で更新されることを意味します。特に、心臓血管、フルオロスコープなどのアプリケーションでは、同じチャネル数でさらに高速なデータ変換が必要になります。優れた DC 性能を備えた、2MSPS 以上の ADC が適しています。

間接変換

間接変換の CCD 出力には、相関二重サンプリング(CDS)が必要です。信号レベルのリセット電圧および画像信号レベルは、アナログ・フロント・エンド(AFE)によってデジタル・データに変換されます。AFE のサンプリング速度は、CCD アレイ内のピクセル数とフレーム・レートによって決定されます。さらに、AFE は、暗電流、オフセット電圧、欠陥ピクセルなどのセンサ・エラーを修正します。信号レベルによっては、プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)の有無、PGA の線形性、使用可能なゲインの範囲も重要になります。デジタル化では、ビット数(分解能)は画像のコントラストとなります。通常は、初期データに対して、最終画像に必要な精度よりも 2 ~ 4 ビット精度の高いデジタル化が望まれます。したがって、8 ビットの最終画像データが必要な場合は、最初に画像処理中の丸め誤差を見込んで 10 ビットにデジタル化します。

一般的に使用される画質の測定基準は、DQE(Detection Quantum Efficiency)と呼ばれ、コントラストと SNR の組み合わせがパーセントで表示されます。コントラストが高く、ノイズが低いほど、DQE の値は高くなります。コントラストとは、濃淡の階調数のことで、ADC の出力解像度によって決定されます。一般的に、このアプリケーションには、14 ビットまたは 16 ビットが適しています。SNR は、ADC の SNR だけでなく、X 線の照射によるシステム SNR の影響、ピクセルのサイズ、およびすべての電子コンポーネントも表示します。SNR は、X 線の照射量を増加するか、フォトダイオードの間隔を広げ、電子ノイズを減少させることによって改善することができます。X 線の照射量を増加すると、患者または作業員に悪影響を与えるので適切ではありません。また、フォトダイオードの間隔を広げると、空間解像度が低下するので適切ではありません。そこで、システム内の電子コンポーネントからのノイズを減少させることが主な課題になります。システム内のノイズの合計は、信号チェーン内に存在する全ノイズの 2 乗総和平方根(RSS)に相当します。ただし、すべてのノイズが相関していないことが前提です。このため、ADC、オペアンプ、およびリファレンスなど、すべてのパーツは超低ノイズにするか、使用できる場合は強力なフィルタを適用する必要があります。温度に対する安定性も重要な課題です。電力の消費による内部温度の上昇は、グレイ・レベルのオフセットを生じさせ、特に動画アクイジション中に画像に歪が生じる可能性があります。したがって、ADC、オペ・アンプ、およびリファレンスの温度安定性を高く保つ必要があります。

技術資料

アプリケーション・ノート

アプリケーション・ノート (2)

タイトル 概要 種類 サイズ (KB) 日付 表示回数 英語版
PDF 1.77 MB 2017年 9月 20日 0
HTM 9 KB 2010年 6月 8日 0

ツール/ソフトウェア

名称 型番 会社名 ソフトウェア/ツール・タイプ
256 チャネル・アナログ・フロントエンド用 AFE2256 評価モジュール AFE2256EVM Texas Instruments 評価モジュールと評価ボード

製品カタログ/ホワイト・ペーパー

ホワイト・ペーパー (1)

タイトル 概要 種類 サイズ (MB) 日付 表示回数 英語版
PDF 333 KB 2010年 6月 8日 0

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