GaN:電力密度の限界を押し上げると同時に、効率も向上

エネルギー使用量の低減とフットプリントの小型化を通じて、設計の迅速化とシステムの低発熱化を実現

窒化ガリウム (GaN) の特長

GaN (窒化ガリウム) はワイド・バンドギャップ半導体の 1 つであり、従来型のシリコン MOSFET (metal-oxide semiconductor 電界効果トランジスタ) や IGBT (絶縁型ゲート・バイポーラ・トランジスタ) に比べて、電力密度と効率を高めることができます。GaN は、シリコン単独のソリューションより効率的に電力を処理する方法で、パワー・コンバータの電力損失を 80% 低減し、追加の冷却部品のニーズを最小化することができます。より多くの電力をより小規模なスペースで実現できるので、GaN を採用すると、より小型かつ軽量のシステムを設計できます。

GaN と SiC の対比

GaN と SiC の対比

GaN (窒化ガリウム) と SiC (シリコン・カーバイド) が供給できる電力レベルは互いに重なり合っていますが、GaN の基本的な特性は、サーバーとテレコム、電気自動車 (EV) の 22kW 未満のオンボード・チャージャ (OBC)、100W 未満のコンシューマ電源アダプタなど、電力密度の高さが不可欠なアプリケーションで役に立ちます。

GaN デバイスは、これらのアプリケーションの力率補正 (PFC) トポロジで 150kHz 超過、また DC/DC パワー・コンバータで 1MHz 超過のスイッチング周波数を達成できるので、システム内の磁気素子のサイズを大幅に小型化できます。周波数が高いと、単位時間ごとに同じ素子をより多くの回数使用できるので、単位時間あたりの実質容量 = 素子の容量 x 使用回数 (つまり周波数) の式で、素子の容量を小さくすることができます。GaN 技術は SiC より高速なスイッチング速度を実現できるので、低コストで電力密度をいっそう高めることができます。

GaN または SiC を選択する状況に関する説明 (英語) をご覧ください

TI の GaN 技術の利点

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ディスクリート GaN FET より高速なスイッチング速度

ドライバを内蔵した TI の各種 GaN FET は、150V/ns のスイッチング速度 (スルーレート) を実現できます。これらのスイッチング速度と低インダクタンスのパッケージを組み合わせると、損失の低減、クリーンな (ノイズの少ない) スイッチング、リンギングの最小化を実現できます。

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磁気素子の小型化、電力密度の向上

TI の各種 GaN デバイスを採用すると、スイッチング速度 (スルーレート) を高め、500kHz 超過のスイッチング周波数を実現することができます。その結果、磁気素子の最大 60% 小型化、性能の向上、システム・コストの削減が可能になります。

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信頼性を重視して製作済み

TI の各種 GaN デバイスは、独自の GaN on Si (ノーマリー・オフかつ安価なシリコン・ウェハー上に GaN 回路を形成するので、高額なサファイア・ウェハーが不要) プロセスを通じ、高電圧システムの安全性を維持できる設計を採用しており、信頼性試験で 4,000 万時間を上回る長さを達成しているほか、複数の保護機能も搭載しています。

主なアプリケーションの概要

テレコムとサーバーの電源
TI の GaN 技術を採用し、96.5% の合計エネルギー効率と 100W/ 平方インチ (6.10W/ 平方 cm) の電力密度を実現して、80Plus® Titanium の規格に対応

TI の GaN 技術を採用し、96.5% の合計エネルギー効率と 100W/ 平方インチ (6.10W/ 平方 cm) の電力密度を実現して、80Plus® Titanium の規格に対応

TI の各種 GaN デバイスを採用すると、ストレージ、クラウド・ベースのアプリケーション、集中型の計算能力などをサポートするテレコム・システムとサーバー・システムを設計しやすくなります。エネルギー効率に関する設計要件に適合しやすくなるように、TI の各種デザインは 80Plus® Titanium の規格を満たしており、99% を上回る力率補正 (PFC) 効率を実現します。

利点

  • トーテムポール・ブリッジレス PFC トポロジで GaN を採用すると、99% を上回る効率を実現可能
  • 絶縁型 DC/DC コンバータで 500kHz を上回るスイッチング周波数を使用し、磁気素子のサイズ縮小に寄与
  • 統合型ゲート・ドライバは寄生損失の低減に役立ち、システム・レベルの設計難易度が低下

主なリソース

リファレンス・デザイン
  • PMP20873 – 効率 99% の 1kW GaN ベース CCM トーテムポール力率補正(PFC)コンバータのリファレンス・デザイン
  • TIDA-010062 – 1kW、80 Plus Titanium、GaN CCM トーテム・ポール・ブリッジレス PFC およびハーフ・ブリッジ LLC のリファレンス・デザイン
製品
  • LMG3422R030 – ドライバ、保護機能、温度レポート機能を内蔵した、600V、30mΩ の GaN FET
  • LMG3422R050 – ドライバ、保護機能、温度レポート機能を内蔵した、600V、50mΩ の GaN FET
  • LMG3411R150 – ドライバとサイクルごとの過電流保護機能内蔵、600V、150mΩ GaN
ソーラー・システムとエネルギー・ストレージ・システム
TI の GaN 技術を採用すると、双方向 AC/DC 電力変換システムで 1.2kW/L を上回る電力密度を実現可能

TI の GaN 技術を採用すると、双方向 AC/DC 電力変換システムで 1.2kW/L を上回る電力密度を実現可能

TI の GaN デバイスは、より小型でより効率的な AC/DC 間のインバータと整流器、また DC/DC インバータの設計に役立ちます。その結果、ソーラー・エネルギーや風力エネルギーを電力に変換するシステムを開発できます。GaN 対応の双方向 DC/DC 変換を活用すると、エネルギー・ストレージ・システムをソーラー・インバータに統合し、グリッドへのエネルギー依存率を低減することができます。

利点

  • 既存の AC/DC コンバータや DC/DC コンバータに比べて 3 倍の高さの電力密度 (1.2kW/L 超過) と重量軽減。
  • 140kHz に対応できる GaN のスイッチング特性を活用すると、電力密度を SiC FET より 20% 高めることが可能
  • 2 レベルの SiC トポロジに比べると、より低コストの磁気素子を採用できるので、システム全体のコストでパリティ (同等) を実現可能

主なリソース

リファレンス・デザイン
  • TIDA-010210 – GaN ベース、11kW、双方向、3 相 ANPC (アクティブ中性点クランプ型) のリファレンス・デザイン
製品
  • LMG3422R030 – ドライバ、保護機能、温度レポート機能を内蔵した、600V、30mΩ の GaN FET
  • LMG3522R030-Q1 – 車載対応、ドライバと保護機能と温度レポート機能を内蔵、650V、30mΩ の GaN FET
  • LMG3422R050 – ドライバ、保護機能、温度レポート機能を内蔵した、600V、50mΩ の GaN FET
バッテリ試験装置
TI の GaN 技術を採用すると、バッテリ・テスタ・システムでチャネル密度の向上や AC/DC コンバータのサイズ縮小を実現可能

TI の GaN 技術を採用すると、バッテリ・テスタ・システムでチャネル密度の向上や AC/DC コンバータのサイズ縮小を実現可能

ゲート・ドライバを内蔵した TI の各種 GaN FET を採用すると、AC/DC 電源のサイズを縮小できます。TI の各種 GaN デバイスは MOSFET や SiC FET より高いスイッチング周波数で動作するので、試験機器のチャネル密度を大幅に高めると同時に、電源の過渡応答時間を短縮することができます。

利点

  • トーテムポール・ブリッジレス PFC トポロジで GaN を採用すると、99% を上回る効率を実現可能
  • DC/DC 段で 200kHz を上回るスイッチング周波数を使用できるので、充電から放電までの遷移を 1ms 以内に短縮可能
  • 統合型ゲート・ドライバは寄生損失の低減に役立ち、システム・レベルの設計難易度が低下

主なリソース

最終製品 / サブシステム
リファレンス・デザイン
  • TIDM-02008 – Bidirectional high density GaN CCM totem pole PFC using C2000™ MCU
  • PMP40690 – C2000™ マイコンと GaN を使用する 4kW インターリーブ CCM トーテムポール・ブリッジレス PFC のリファレンス・デザイン
製品
  • LMG3422R050 – ドライバ、保護機能、温度レポート機能を内蔵した、600V、50mΩ の GaN FET
  • LMG3410R070 – ドライバと保護機能内蔵、600V、70mΩ の GaN
車載、OBC (オンボード・チャージャ)、DC/DC コンバータ
TI の GaN 技術を採用すると、電気自動車 (EV) で高い電力密度を実現可能

TI の GaN 技術を採用すると、電気自動車 (EV) で高い電力密度を実現可能

ハイブリッド車 (HV) や電気自動車 (EV) の次世代オンボード・チャージャ (OBC) や高電圧から低電圧への変換を行う DC/DC コンバータで GaN パワー・デバイスを採用すると、スイッチング周波数を高くし、磁気素子のサイズを小型化することができます。スイッチング周波数の上昇と小型化を通じて、シリコン・ベースや SiC ベースの OBC (オンボード・チャージャ) より高い電力密度を実現できます。

利点

  • 3.8kW/L の電力密度で、同じ体積の SiC より多くの電力を供給
  • CLLLC 構成で 500kHz を上回るスイッチング周波数、PFC で 120kHz
  • システム・レベルの全体効率は 96.5%
  • ゲート・ドライバ内蔵により、システム・レベルの設計が簡素化

主なリソース

製品
  • LMG3522R030-Q1 – 車載対応、ドライバと保護機能と温度レポート機能を内蔵、650V、30mΩ の GaN FET
技術資料
設計ツールとシミュレーション
  • POWERSTAGE-DESIGNER – 最も一般的に使用されるスイッチ・モード電源に使用可能な Power Stage Designer™ ツール
HVAC (エアコン) と家電製品
TI の各種 GaN デバイスを採用すると、HVAC (エアコン) や家電製品で、PFC 電力段の電力効率の向上とフォーム・ファクタの小型化を実現可能

TI の各種 GaN デバイスを採用すると、HVAC (エアコン) や家電製品で、PFC 電力段の電力効率の向上とフォーム・ファクタの小型化を実現可能

EN6055 のような新しいエネルギー規格を満たすには、HVAC (エアコン) システムは力率補正 (PFC) 電力段を採用する必要があります。GaN 電力段は、IGBT (絶縁型ゲート・バイポーラ・トランジスタ) より高い効率を実現し、磁気部品の小型化、ヒートシンクのサイズ縮小、合計システム・コストの削減に役立ちます。

利点

  • 最大 60kHz の高いスイッチング周波数に対応し、磁気素子のサイズ小型化が可能
  • スイッチング損失が低下し、電源段で 99% を上回る効率を達成可能
  • 素子サイズの小型化と冷却能力の縮小が可能なので、設計サイズの小型化とコスト削減が自動的に達成可能

主なリソース

リファレンス・デザイン
  • TIDA-010203 – C2000 と GaN を使用する 4kW 単相トーテムポール PFC のリファレンス・デザイン
製品
  • LMG3422R030 – ドライバ、保護機能、温度レポート機能を内蔵した、600V、30mΩ の GaN FET
  • LMG3422R050 – ドライバ、保護機能、温度レポート機能を内蔵した、600V、50mΩ の GaN FET
高効率のパワー・エレクトロニクスに関する Delta Electronics の主要な専門知識を活用した GaN アプリケーションは、効率特性を犠牲にせずに電力密度を最大化することを重視しています。結論として、従来は実現できなかった製品も、GaN 技術を使用すると開発可能になる可能性の扉が開きます。
– Kai Dong | Delta Electronics R&D (研究開発) 部門のマネージャ

GaN の高度な信頼性

TI の目標は、開発を検討している GaN デバイスの信頼性をさまざまな状況で検証できるようにエンジニアを支援することです。そのため、TI は JEDEC (半導体技術協会) の主要委員会の 1 つである JC-70 Wide Bandgap Power Electronic Conversion Semiconductors (ワイド・バンドギャップ・パワー・エレクトロニクス変換半導体) と提携し、信頼性と認証、データシートのパラメータ、テストの手法に関する各種業界規格の策定を支援し、GaN 技術採用のいっそうの推進を目指しています。

カテゴリ別の参照

GaN デバイスを使用した設計

ドライバと保護機能を内蔵した TI の GaN FET 製品ラインアップを採用すると、電力密度の向上や寿命全体にわたる信頼性の確保が可能になり、競合ソリューションよりシステム・コストを削減することができます。

TI の GaN 採用で設計の完成度が向上

各種コンパニオン・デバイスで構成された TI の製品ラインアップは、GaN システムの性能を最大限に高める設計を採用しているので、効率の向上、信頼性の向上、電磁干渉 (EMI) の低減のどの目的でも活用できます。

技術リソース

アプリケーション・ノート
アプリケーション・ノート
Third quadrant operation of GaN
GaN の第 3 象限動作の詳細や、デッドタイム損失を最小化するために必要な情報をご確認ください。
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ホワイト・ペーパー
ホワイト・ペーパー
ドライバの統合によるGaN性能の最適化
GaN の性能を最適化する方法と、統合型ゲート・ドライバを使用して寄生インダクタンスを最小化する方法をご確認ください。
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関連資料
関連資料
GaN 関連の各種リファレンス・デザイン
TI のリファレンス・デザイン・セレクション・ツールを使用すると、開発中のアプリケーションやパラメータに最適な GaN のデザインを見つけることができます。