AC 誘導(ACIM)、ブラシ付 DC、ブラシレス DC(BLDC)、永久磁石同期型(PMSM)、ステッピング・モーターなど各種モーターの位置、速度、トルクを正確に制御するために適切なアナログ製品、デジタル製品、ソフトウェア、およびサポートを掲載。
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モーター・タイプ別
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製品別: モーター・ドライバおよびゲート・ドライバ
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モーター制御 - 永久磁石同期型モーター(PMSM)
永久磁石同期型モーター(PMSM)は、AC 誘導モーターとブラシレス DC モーター(BLDC)の両方の特徴を兼ね備えていると考えられます。これらのモーターの回転子の構造は、永久磁石を備えた BLDC モーターに類似しています。ただし、これらのモーターの固定子の構造は、姉妹品の AC 誘導モーター(ACIM)に類似しており、マシンのエアギャップに正弦波の磁束密度を生成するように巻線が取り付けられています。 そのため、正弦波で駆動する場合に最高の性能を発揮します。ただし、姉妹品の ACIM とは異なり、PMSM モーターには過渡状態で減衰を発生させる回転子コイルが存在しないため、開ループのスカラー V/Hz 制御では性能が低下します。フィールド・オリエンテッド・コントロールは、PMSM を使用した最も一般的な制御技法です。この結果、ACIM と同じくらい非常に小さなトルク・リップルになります。PMSM モーターは、サイズが小さい割には ACIM よりも高い電力密度を発揮できます。これは、誘導マシンで回転子磁界を生成するためには、回転子電流を「誘導」する際に、固定子電流の一部が必要となるためです。この追加の電流により、モーター内部に熱が発生します。ただし、回転子磁束は、回転子に付いた永久磁石によって PMSM 内ですでに確立されています。
ほとんどの PMSM では、回転子の表面に装着された永久磁石を利用しています。これにより、モーターは磁気的に「丸く」見え、回転子の磁石と固定子の電磁石の間の反力によって、モーターのトルクが発生します。この結果、最適なトルク角度は 90 度になります。代表的な FOC アプリケーションでは、d 軸の電流を 0 に調整することにより、この値が得られます。ただし、一部の PMSM では、回転子構造の内部に磁石が埋め込まれています。このようなモーターは、内部永久磁石または IPM モーターと呼ばれます。この結果、円周方向の磁束は、特定の空間角度において、他の空間角度よりも密度が高くなります。これにより、リラクタンス・トルクと呼ばれる追加のトルク成分が増加します。これは、集中磁束と非集中磁束の経路に沿ったモーター・インダクタンスの変動によって発生します。このような理由から最適な FOC トルク角度が 90 度を超えるので、q 軸の電流に対する d 軸の電流の割合を負の一定値に調整する必要があります。この d 軸方向の負電流によって磁場が弱くなり、d 軸方向の磁束密度が小さくなります。結果として、コア損失が部分的に小さくなります。この結果、IPM モーターは、同じフレーム・サイズでも高出力を発揮できます。このようなモーターは、ハイブリッド自動車の主電動機だけでなく、家電や HVAC(換気空調設備)用の可変速度アプリケーションにも普及しています。
IPM モーターが示す突極性は、センサレス制御アプリケーションでも、その他の利点が得られます。多くの場合、突極性の特性は非常に強いので、静止状態や低速稼動状態における回転子の位置を判断するために使用できます。センサレス FOC 設計の中には、低速時に突極性マッピングを使用し、モーターの速度が上昇するにつれて、逆起電力オブザーバ・モデルを使用するものもあります。
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